生まれ育った場所からはいつも大きな富士山が見えていたから、とっても身近な山でしたが、何しろ日本最高峰。そう簡単に行けない事もわかっていました。
今回は、アウトドアパラダイスの企画にくっついて連れて行って貰えると言うので、意を決して行ってきました。アウパラのホームページに少しだけ登場する可能性があります。
16日土曜日
9:30に 富士川サービスエリアで待ち合わせ。アウパラのスタッフの皆さんと合流して新五合目へ。
ガイドの實川さんは、日本山岳会会員で世界の名だたる山を制覇したすんごい方です。富士山にも年間200回以上登頂していて、すでに累計1000回は登っているそうです。一日2回登山を70日連続したりできる体力の持ち主。とても優しい笑顔の方でした。
撮影がいろいろあって、新五合目で少し長めのインターバルがとれました。
14:00頃、いよいよ出発
すぐに六合目の小屋に到着。五合目から六合目がこんなに近くじゃ、後は楽勝だね! と思ったのが大間違いでした。少し歩いて宝永山。

富士山の絵を静岡の人が描く時には右にちょこんと必ずある宝永山。ちょこんとあるだけのはずが、デカイ!
今回のルートは、プリンスルート。宝永山火口から頂上へ登り八合目に抜けるルートです。短時間に登頂するなら宝永山はパスするのですが、山登りの醍醐味が味わえるのはこのルートだよ、と教えてもらいました。数年前に皇太子様が登頂された時のルートだそうです。
しかし、
醍醐味どころではありませんでした。すんごく大変。
火山礫が堆積した道は、普通に足を置くと滑ります。もぐります。一歩足を出すと半歩滑り落ちる感じでした。新五合目を出発するときに、山岳会の天野さんに、「一歩ずつじゃなくて、半歩ずつ進むように行くんだよ」と言われましたが、一歩出しても半歩になってしまいます。
もっと効率よく歩けないのかとガイドの實川さんの歩き方を見ると、實川さんの足元は火山礫が滑り落ちていませんでした。足の置き方が違うようです。普通に足を出すと滑ってしまうのですが、ざくっと差し込むような感じでした。ちょうど、スキーブーツを履いて雪山を歩くような感じです。ざくっざくっと差し込んで歩くと、しっかり足元が決まり少し効率よく歩けるように思いました。
途中休憩の時に、實川さんに聞いてみると そうだね、と言ってくれました。
歩くだけでもコツがあります。
長い距離、歩かなければならないので、効率よく歩こうと思いました。
歩いている間も上の方から岩が何個か滑落してくるのが見えました。
目の前に道が見えるのに、こんなに遠いなんて。

宝永山山頂 馬の背
最初の予定では16:30に八合目到着でしたがすでに16時を回っていました。
それから先はひたすら一歩一歩進むのみ。
八合目の山小屋に着いたのは19:00頃だったと思います。ズボンのすその砂を払って山小屋に入りました。
山小屋って初めてでした。

静岡ルートの登頂が許可されたのが14日だったので、待ちに待っていた登山者が多かったのだと思います。山小屋は超満員(だったと思います) すごい人数の人が宿泊していました。
二食付で7000円でした。 夕食のカレーがすごく美味しかった。ほんとに美味しいごはんで、ありがたかったです。山小屋のお兄さんやお姉さんもやさしくて、おばちゃんもてきぱきしていて、いい感じでした。
日が暮れてきたので、外の景色を見ようと出てみると

街の明かりと満月が輝いていました。
私の場合、山登りなどのきつい運動をしていると筋肉痛が運動している時に起こります。(バーンというそうです) 今回もすでに太ももとふくらはぎの筋肉が痛い状況でした。できる範囲でストレッチを行いましたが、冷やす事もできないしそのまま横になりました。とても疲れているのに、脚が熱い感じがしてついに一睡もできませんでした。
1時を過ぎると、起きはじめた人がいました。2時出発の予定なので1:30頃に起きようと思いましたが、トイレも2個しかないし、やっぱり早めに準備することにしました。私が寝たのは山小屋の二階部分なので、リュックをかつぎ、靴とポールを持ってそおっと下に降りました。

山小屋からふと下を見ると、ヘッドランプの列が!
ご来光を目指している人がこんなに大勢登ってくるなんてびっくりでした。
お月様も輝いています。
2:00 予定通り出発。4:00までには山頂に到着する予定だそうです。
二時間なら、なんとか頑張ろうと思いました。
ここから空気が薄い事を実感しました。 静かに休んでいればなんともないのですが、歩きだすとすぐに心拍数が上がるのです。時々心拍数計を付けて運動しているので、その感覚がわかるのですがHMR80%位にすぐ上がってしまいます。「深呼吸して」と言われますが深呼吸し始めるとまた苦しくなるような気がしました。
八合目から頂上までは、脚の筋肉より心臓・肺の循環器系との戦いのようでした。
そして、ついに山頂到着。
まだ暗い空の中に鳥居が見えました。着いた!
撮影スタッフの皆さんはご来光スポットへ行き、私たちも後をついて行きました。
待つ事しばし。4:30には太陽が見え始めました。

太陽の反対側にまだ沈まない月が

右側に見えるのが測候所の跡です。

一応証明写真
明るくなってきて周りをみてびっくり。すごい数の人です。
お鉢めぐりをしようか?と言われましたが、もうへとへとで断念。 今日帰るための体力を残しておかなければなりません。剣ヶ峰へ移動する途中、浅間大社があって、お札をいただけるというので寄りました。家族にお守りを求め、私は御朱印を頂きました。まさか、山頂で御朱印いただけると思わなかったので持ってきませんでしたが、御朱印帳はいつも持っていないとダメですね。
他では絶対に手に入らない記念品をいただきました。
6:00頃下山 といっても八合目の小屋まで下ります。小屋で朝ご飯をいただく予定。
脚の筋肉が悲鳴を上げはじめましたがこらえて下りました。
山小屋で一息ついて、本格的に下山です。實川さんに所要時間を聞くと、「二時間もあれば行っちゃうだろう」とのこと。 そうか、二時間なら、頑張ろう。
でも帰りは、「大砂走り」という所を通るそうです。火山礫が堆積していて、埋まっちゃうよと言われているところ。用意してきたスパッツを装着して、マスクをして、出発しました。サングラスもしているので私の顔はほとんど見えません。街中なら銀行強盗とか不審者になって通報されているでしょう。
でも、この装備でよかったです。
それと、下りが一番心配でしたが、大砂走りはふかふかで膝への衝撃は少なかったので下までずうっと砂走りでもいいかな、と思う位でした。膝には負担は少なかったけど、大腿四頭筋にはそうとうきつかった。宝永山まで来たときには膝はガクガクでした。
ここまで来ればもう一息。がんばって下山。
新五合目に着くと、ものすごい人の数。観光バスに乗って、大勢の登山者が登り始めていました。まるでアリンコの行列のようです。
實川さんはすでに1000回以上登頂してらっしゃいます。下山したとき、私はもう二度と富士山には来ないと思いました。ホントに大変でしたから。でも、不思議なもので今日は「もう一回くらい行ってもいいかな」と思っています。
筋肉痛で大変ですけど。
良い経験でした。
お世話になったアウトドアパラダイスの皆さん、實川さん、ありがとうございました。
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